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アイスプラント
佐賀大教授が栽培法を開発した南アフリカ原産の植物「アイスプラント」の商品化が、着々と進んでいる。商品名はスワヒリ語で氷や結晶を意味する「バラフ」。同大やOBらが東京や大阪のデパートで販売したところ、評判は上々。増産のためのベンチャー企業も設立され、佐賀発の特産品として認められ始めた。

栽培法を研究してきた佐賀大農学部の野瀬昭博教授(熱帯作物改良学)と、門下生でベンチャー企業「農研堂」(神埼市)の下田敏史社長(29)らが命名した。葉の表面の透明なつぶをかむと酸味と塩味が広がり、ドレッシングもいらない。カルシウムのほか疲労回復に役立つとされるリンゴ酸やクエン酸も含んでいるという。

 塩分の強い土壌でもよく育つことから、野瀬教授が85年、土壌改良用に活用できないか着目。欧州では食用にも供されていると聞き、約10年かけて栽培法を開発した。塩加減を管理できるようハウス内の養液に苗を浮かべ、1カ月ほどで高さ約30センチまで育ったところで葉を収穫する。

 農家に栽培を委託し、佐賀大が東京、大阪のデパートなどに出荷を始めたのは06年11月。口コミで注文が入り始め、増産のため下田社長ら野瀬教授の門下生3人は昨年5月、農研堂を設立した。

 神埼市内で農地を借りて栽培しているほか、唐津市の農家にも育ててもらっている。1パック70グラム入りが出荷時期により300〜500円。1日約1000パックを出荷しているが、9月までに1万パックにする目標だ。

 ビールのつまみやサラダ、いため物などに向いているという。昨春から食料品売り場に並べた伊勢丹新宿本店は「健康に良いとされるのも受けている一因。もっと売れる」とみる。下田社長は「土による栽培でもおいしいバラフを生産できるようにし、塩害の解決と一石二鳥を狙うのが夢」と話す。 朝日

| 【2008-03-02(Sun) 23:36:33】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
ラクレット
ラクレット
アルプスのハイジも食べたというラクレットチーズを溶かして、湯がいたじゃがいもにかけるだけのラクレット料理。
簡単で美味しく、食べれば食べるほど病みつきになる味。ピクルスと相性抜群。
ご家庭では、オーブントースターででも簡単にできます。

牛と羊たちの気配を辺りに感じつつ、足早に家路に向かう。温かい、オレンジ色のランプの光がこぼれる我が家。玄関を開けると、鼻腔(びくう)いっぱいに広がるチーズの香り……。というのは民話のひと幕ではない。これは紛れもないスイスの現実である。そんな「超ド級の田舎にしかありえなさそうなこと」が都市のそこここで起こりうる(もしくは実際に起こっている)のがスイスであり、それがこの国の持つ魅力でもある。

 そんなスイスに欠かせない家庭電器製品がラクレット・オーブン。「ラクレット」とはスイスの三大家庭料理のひとつであり、簡単に言うとチーズを溶かして野菜やパンの上に掛けたもの。そしてラクレット・オーブンはラクレット用のチーズを溶かす専用器具である。 

 器具はL字をひっくり返したような支柱に受け皿のようなものがついているというシンプルないでたち。スイッチを入れると逆L字の天井部分が暖まり、受け皿に置いたチーズの断面を溶かす。5ミリほどチーズが溶けたところで用意しておいた野菜の酢漬けや白パンの上にナイフで落とします。

 また、庭に電気コードを引っ張ってきて青空ラクレットを楽しむ光景も日常的である。物価の高さゆえ外食の習慣のないスイス人にとって、自宅でいかに食を楽しむかということは人生の重要な位置を占めている。そのためラクレット・オーブンのようなラクレット意外に用を足さない家電であっても、高い保有率を維持しています。

 ただひとつ、ラクレットをする際に問題になるのは、誰が「溶かし役」になるかである。ラクレットはチーズが皿に降りた瞬間に食べるのが礼儀。そうでないとおいしく頂けないからだ。そのためチーズを溶かす役の人間は、ひとりひとり順番にラクレットを配り終えるまで食べられないことが多いという、何とも損な役回りである。

 ラクレットfuyu1.jpg
用チーズはもとが大きく重量であり、かつ片手作業を要するため、力のある男性陣に役が回ることが多いが、ムッテル(スイスドイツ語で「母」の意味)たちもまた、ヒョイと片手で持ち上げてしまうのだから頼もしい。そして彼らの溶かすラクレット・チーズは素朴で、温かみがあり、舌がとろけるほどおいしい。

 

| 【2008-02-24(Sun) 16:22:51】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
瞬冷凍冷蔵庫
残ったカレーを冷蔵庫で冷凍すると、ジャガイモの食感が損なわれてしまう。そんな悩みを解決する冷蔵庫を、三菱電機が昨年秋に開発した。一瞬にして食品の内部まで均一に凍らせる「瞬冷凍」という技術だ。

 食材に含まれる水分が凍る際に大きな氷の結晶ができると、食材の組織や細胞が破壊されてしまう。一般的な家庭用冷蔵庫は、零下30〜40度の冷気を食材にじかに吹きつけて急速に凍結させ、結晶がなるべく小さくなるよう工夫している。

■気流を制御

 ただ、冷気を食材にじかにあてると、表面に氷の結晶のたねとなる氷核ができる。やがて、食材の内部に向かって針状の結晶が成長し、どうしても組織や細胞を破壊してしまう。

 これを防ぐため、三菱電機の開発チームが目をつけたのが過冷却という現象だ。

 液体をゆっくり静かに冷やすと、凍結するはずの温度を下回っても凍らない。これを過冷却の状態という。この状態の液体を刺激すると瞬時に凍る。

 「瞬冷凍」では、赤外線の温度センサーで食材の温度をつかみながら、冷気がじかに食材にあたらないよう気流を制御。食材の表面と内部の温度差を抑えつつ、零下7度くらいまで静かに冷やして過冷却の状態にもっていく。そこから一気に5度ほど下げる刺激を与え、瞬時に食品を凍らせる。

■何度も実験

 開発グループマネジャーの平岡利枝さんによると、氷の結晶は非常に細かく、細胞の破壊も抑えられるという。「味も食感も損なわれにくい。ジャガイモやタケノコでも上手に冷凍できます。冷凍みかんも、生っぽさが残せるんですよ」

 「瞬冷凍」と従来の方式で凍らせたヨーグルトを食べくらべてみた。従来の方式はシャリシャリした食感だが、「瞬冷凍」は滑らかな舌触りだ。

 業務用では零下60度くらいまで急速に冷凍しておいしさを保つものもあるが、電力をたくさん使うので家庭用には不向きだという。「おいしさを損なわない家庭用冷蔵庫を目指して、数年前から過冷却の研究を続けてきました」と平岡さん。

 うまく過冷却になる条件を探るため、肉やヨーグルトなどを使って実験を繰り返した。ヨーグルトは飽きるほど食べ、肉屋さんには顔を覚えられるほど通ったという。

 「すばやく凍らせる冷凍庫が優秀というのが常識でしたが、静かに冷やすことでうまくいったのです」

〈メモ〉 401〜565リットルまで6機種ある。実勢価格は19万〜28万円。「瞬冷凍」のための冷凍室のほか、「瞬冷凍」ずみの食材を入れておき、解凍しなくても切ることができる硬さを保つ冷凍室(零下7度)も備わっている。(be)

素晴らしい冷蔵庫です!本当に便利ですね。




| 【2008-02-15(Fri) 08:37:58】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
郷土料理
 全国各地に伝わる郷土料理のうち、農山漁村で脈々と受け継がれ、かつ「食べてみたい!食べさせたい!ふるさとの味」として国民的に支持されうる料理を郷土料理百選として選定、それにまつわる歴史、文化、レシピ、伝承活動等についてとりまとめ、全国に情報発信し食文化を通じた地域振興を図るとともに、都市と農山漁村の交流を促進する。郷土料理百選
今の日本はファ−ストフ−ズ、冷凍食品が多くもっと日本の食べ物、食文化を大切にしたいものです。

| 【2008-02-07(Thu) 23:11:46】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
かつお節
 「かつお」の名前の由来は、干すと固くなる魚であったことから、堅魚(かたうお)と呼ばれていたのが、つまって「か・つ・お」と呼ばれるようになったと言われています。

 かつおそのものを食す習慣は、縄文にさかのぼりますが、かつお節としてのルーツは、定かではないものの、古事記に堅魚の表記があることから、700年あたりから、と言う説が有力です。生のかつおを乾燥した素干し品である堅魚や、煮てから乾燥した素干し品である煮堅魚は、元来、保存の利く副食品として作られました。その際、煮堅魚を作るときにできたかつおの煮汁が大変おいしかったことから、平安時代には山の幸や海の幸にこれらを混ぜて炊いたお粥が食べられる様になり、従来の副食品としての利用から、調味料としての地位を強めていったようです。

 かつお節には、「荒節」と「枯節」の2種類があります。煮詰めたかつおを煙でいぶしただけのものを「荒節」、荒節にかつお節菌を発生させ、発酵したものを「枯節」と言います。荒節の製法は、江戸時代初期に確立されましたが、より長期保存を追及した結果、カビを有効利用した発酵食品として、枯節が生まれました。と言っても、どの発酵食品にも言えることですが、たまたま猟師さんが偶然見出したものだと思いますが、カビ付けによる雑菌の繁殖防止効果は、著しく保存性を向上させ、江戸元禄期には「枯節」として、定着したようです。現在は、荒節が主流で全体の80%と言われています。枯節は、「手間と時間がかかる=高い」の構図により敬遠されているようです。何とも寂しい話ですが……。
そして、更に、追い討ちをかけた出来事に化学調味料の台頭があげられます。以前日本の家庭では、かつお節、昆布、煮干、しいたけなどの自然の素材で「だし」をとっていました。ところが、昆布のうま味成分のグルタミン酸やかつお節のうま味成分のイノシン酸を人工的に作った化学調味料が急激に普及してしまったのです。ファースト&コンビニエンスの魔法の粉は、またたく間に日本はおろか、中国、東南アジア、そして西洋諸国にいきわたり、人間の味覚を麻痺させてしまったのです。化学調味料症候群とでもいいましょうか、化学調味料がはいっていないと、おいしく感じられないといった人が意外と少なくないのです。要は濃い味に慣らされてしまったのでしょう。近年にいたっては、ようやく化学調味料の危険性が、一般にも認知され、さすがに化学調味料そのものを使うということはすくなくなったようです。が、実は、一般に売られている殆どのだし、加工食品は、好む好まざるに関わらず、「うまみ調味料(アミノ酸)」と名前を変えて使われているのです。酵母エキスなるものもその仲間です。いわゆる「かくれ化学調味料」ですね。これは、要チェックですよ。

 ところで、削り節には「かつお節けずり節」と「かつお削り節」があることを知っていますか?「かつお節削り節」はカビ付けをしたかつお節(枯節)を削ったもので、「かつお削り節」はカビ付けしていないかつお節(荒節)を削ったものです。当然、クォリティーはかつお節削り節が断然勝るのですが、気をつけなければならない点があるのです。それは、カビの付け方です。カビ付けには、3種類の方法があり、(1)天然の自然カビ:ムロと呼ばれるカビ付け室に生息している天然かつお節菌の自然の力を活用する。(2)天然調整カビ:冬場の気温が低い時、温度と湿度を人工的に調節して、ムロの天然かつお節菌の自然の力を活用する。(3)純粋培養カビ:人為的な不自然な培養によって作り出されたかつお節菌を塗る。などがあります。もちろんオススメは、(1)か(2)ですね。本来のかつお節菌は、脂肪を分解し、タンパク質を天然のアミノ酸に変え、本来のうま味を引き出してくれます。

 忘れ去られた大切な日本の食文化を復活させる意味でも、家庭に一台のけずり節器、そして一本のかつお節。食のおしゃれを楽しんでみてはいかがですか。 環境goo

| 【2008-01-29(Tue) 13:00:49】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
軟水と硬水
1. 軟水と硬水
生活用水や飲料水をその成分で分類したときに「軟水」、「硬水」という言葉を使います。軟水・硬水の基準は「硬度」で決まります。硬度とは、水に含まれるカルシウム量とマグネシウム量のことで、「カルシウム量(ミリグラム/リットル)×2.5+マグネシウム量(ミリグラム/リットル)×4」で算出された数値で表すのが一般的です。硬度を分類する基準にはいろいろありますが、硬度100以下が「軟水」、300以上が「硬水」、その間の「100〜300」は中硬水というのがおおよその目安になります。日本の水は軟水が多く、海外の水は日本より硬度が高い傾向にあります(日本でも沖縄は硬水が多い)。特に、欧米では硬水が多く、また、海外のミネラルウォーターには炭酸ガスを含むミネラルウォーターも少なくありません。
軟水は一般的にくせがないのでそのまま飲んでもおいしく、料理をするのにも適しています。硬水は、ミネラル成分が多く含まれますがくせがあり、そのまま料理に使うにはあまり適していません。中硬水は軟水と硬水の間の性質があります。
2. 地域による水の性質の違いと食文化

水のミネラル成分は、雨水や雪解け水が大地にしみこみ川となって流れていく過程で、周囲の地層などの成分が少しずつ溶け込んだものです。地域によって硬度に大きな差があるのは、大地を形成している物質が地域によって違い、水の滞留時間が異なるからだと考えられています。
たとえば欧米などに多く見られる石灰質の地層では、カルシウムを多く含む密度が高い地層を地下水が時間をかけて通り抜けます。地表の川の水も広い欧米の大地をゆっくりと流れて海にたどり着き、こうしてミネラルがたくさん溶け込んだ硬度の高い水となります。
日本では、雨が多く密度の低い火山性の地層が多いため、地下水の滞留時間が短くなります。また、川の水も土地が狭く傾斜が急なために、あっという間に海に流れ出てしまいます。こうしてミネラル分をあまり含まない軟水になるのです。
1)軟水と食文化

日本のほとんどの地域の水は軟水です。軟水は一般的に料理に適しており、そのおかげで日本では水をふんだんに用いて素材そのものの味を生かす料理が発達しました。水を多く使う煮物、吸い物や、葉野菜をさっとゆでておいしく食べるという方法もあります。だしをとるのも軟水ならではの方法で、ご飯を炊くときも、米にたっぷり水を含ませて炊きあげます。
飲み物に関しても、日本人がよく飲む緑茶も水そのものの味が左右することもあります。茶道が発達した理由のひとつに軟水もあげられるでしょう。
2)硬水と食文化

ヨーロッパの水はほとんどが硬水です。硬水はミネラル分が豊富に含まれていますが、料理に利用する場合は、そのミネラルの作用でたんぱく質が固まって旨み成分が溶け出さない場合もあります。
そのため、ヨーロッパでは水をそのまま利用しないで料理をする工夫が生まれました。野菜に熱を加えるときは野菜自体に含まれる水分を利用して蒸したり、オーブンで焼いたり、油脂を加えて煮込んだりする料理が発達しました。米は炒めたり蒸したり、水を使わずスープストックや牛乳で煮たりしますし、肉も油で炒めたりローストしたりすることが多いのです。また煮物はシチューのような煮込み料理が多く、水で直接煮込まずにスープストックを使い、ワインや生クリームを加えて調理します。
こうした背景からフランス料理のような料理文化が生まれたとも考えられます。

軟水、硬水、炭酸水
3)炭酸水

ヨーロッパでは炭酸ガス入りの水が好んで飲まれる傾向にあります。ふだんの飲用はもちろん、食前酒代わりとして食事のときにも好まれます。炭酸が胃腸を刺激して消化を促進する効果があり、また炭酸ガスによって満腹感が得られ食べ過ぎを抑制してくれます。
炭酸水には大きく分けて、天然の炭酸ガスを含むものと、後から人工的に炭酸ガスを添加したものとがあります。
天然の炭酸水は、火山活動などによって地層の中に発生した炭酸ガスが地下水と混ざり合うことで生まれ、ガスと水とが比較的分離しにくく、泡立ちが長く続くといった特徴があります。
特に炭酸水の消費量が多いのはドイツ、イタリア、イギリスで、ドイツではテーブルウォーターとしてだけでなく、ワインを炭酸水で割って飲む習慣もあります
3. 日本の名水百選

名水百選とは、1985年(昭和60年)に環境庁により選定された全国100か所の名水を指します。国内の優れた自然水を再認識し、自然・水環境保護への関心を高めることを目的として、100の名水地は47都道府県全てから選定されました。
「おいしい水」が基準となっているわけではなく、水質や環境に加え、希少性、歴史、地元の環境保護努力など、多様な観点が選定基準とされました。湧水が最も多く、以下、地下水、河川、用水と続き、そのまま飲用できるものとそうでないものがあります。

参考:環境省選定名水百選ホームページ(http://mizu.nies.go.jp/meisui/

それぞれの地域で生まれた食文化は、その環境やそこでとれる食料の影響だけでなく、その地域の水が重要な役割を果たしています。水の性質は地域によって大きく異なり、その違いがそれぞれの食文化を発達させ、私たちの生活を豊かなものにしてくれています。
硬水・軟水の使い分け

水は化学的な構造上、アルコール等と同じように、物の香りや味を引き出す力があります。

ミネラルの少ない軟水の方が香りを抽出する力が強いので、緑茶やウィスキーなど、繊細な香りを楽しむものには、軟水を用いた方がいいとされています。

お料理に関しては、基本的に和食には軟水を、洋食には硬水が適していると言われます。

コーヒーに関しては、水に含まれるミネラル分であるカルシウムやマグネシウムが多すぎると、コーヒーの主成分であるカフェインや良質のタンニンの抽出がさまたげられてしまいます。
また、コーヒーの苦味成分は、硬度の低い水(軟水)には溶解しにくく、高い水(硬水)に馴染む性質があります。
マイルドなコーヒーを飲むのなら軟水、苦味の強いコーヒーを飲むのなら硬水で入れると、より味わいを楽しむことができます。


| 【2008-01-25(Fri) 15:46:47】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
江戸の先人たちに学ぶ健康法
260年あまりにわたる江戸時代に、現代の生活の基盤ができたことはその食文化から見てとれるでしょう。たとえば、日本人が大好きなそばやうどん。手軽で安くて胃にもたれないめん類は庶民たちに好まれ、江戸後期の「そば屋」にはお品書きもありました。

 関西はうどん、江戸はそばというイメージが定着したのは江戸後期からで、初期には江戸もうどんが主流でした。徳川家康が幕府を開いて以後、全国からたくさんの商人や職人たちが集まってきたことはすでに触れましたが、家康の本国である三河や上方から移ってきたのは位の高い人々のみでした。そのため、上方の食文化が直接導入されたというより、むしろ上方の食を江戸流にアレンジしていったというほうがあたっているかもしれません。従来、栽培されたそばは、だんご状にして焼いたり煮たりするほか、粒のまま雑穀飯として食べられていましたが、そのそばがうどんの形状をまねて細長いそば切りになったのは1500年代後半の頃でした。その頃のそばは、つなぎを使っていなかったために切れやすく、ゆでるのではなく蒸して食していたといわれます。

 そばが栄養学的に注目されたのはごく最近のことです。100gあたりのカロリーは米やパンと大差ありませんが、良質のたんぱく質やビタミン類は豊富で、また細胞の老化を早める活性酸素を除去する抗酸化作用があります。消化吸収が良い一方で、小麦粉の2倍、白米の8倍以上もの食物繊維が含まれ、便秘がちな女性たちにとっては最良のヘルシー食でしょう。今や日本食の代表のようなそばですが、国内での生産量は年々減少し、近年ではその多くをカナダや中国からの輸入に頼っているのが現状です。

 そばには「鴨南蛮」「カレー南蛮」と呼ばれるメニューがあります。「南蛮」の意味は諸説ありますが、徳川宗家第18代当主徳川恒考氏の著書によると、日本が南蛮ブームに沸いたのは江戸より昔とのこと、イエズス会のフランシスコ・ザビエルが布教目的で日本を訪れた1549年以降です。鉄砲伝来の6年後、長篠の戦いの26年前にもさかのぼります。南蛮には、「異国の」「珍しい」という意味のほか、香辛料を「南蛮」と呼ぶ慣例があるようで、一説に「鴨南蛮」「カレー南蛮」の南蛮は葱(ねぎ)を指しているといわれます。

 江戸時代の随筆作者喜多村いん庭(「いん」は竹かんむりに均)が著した「嬉遊笑覧」には「…葱を入るるを南蛮と云ひ、鴨を加へてかもなんばんと呼ぶ。昔より異風なるものを南蛮と云ふによれり」とあります。葱は、ユリ科の野菜で中国からの輸入品ですが、南蛮と呼ぶところから当時は野菜というよりむしろ薬味・香辛料、油や魚の臭い消しとして親しまれていたようです。風邪を引いたときにスライスしたねぎをガーゼに包み、首に巻くという民間療法がありますが、確かにネギには発汗・保温効果が期待できます。鴨南蛮は、これからの寒い季節にぴったりの季節そばといえるのでしょう。 植田美津江医学博士




| 【2007-12-19(Wed) 19:22:31】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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